パコと魔法の絵本

DIME2008-09-25

  • 「音楽は人を殺れる」というフレーズがある。漫画『デトロイト・メタル・シティ』の中で、凶器としての音楽の可能性を肯定した一節だ。これは『ミュージックステーション』というテレビ番組が、大量殺人を犯すポテンシャルを秘めていることを示唆していたりする。
  • 同じように、「映画で人を殺せるか?」という命題も古代から研究されてきた。映画『リング』の呪いのテープにはまさにその恐怖が焼きつけられていたし、貞子はその命題の執行者といえるだろう。
  • しかし、『パッション』というキリスト虐待映画により心臓マヒの死亡者があらわれ、この命題はあっさりと証明されてしまう。もはや貞子は、まっ昼間に直立歩行する存在となった。
  • そこで『パコと魔法の絵本』である。この映画は「映画で人は太れるか?」という新しい理論を実践しているのだ。
  • 監督・中島哲也が支配するビジュアルは、キャンディーカラーともいわれる。その狂気的なまでの極彩色の世界は、地獄からあふれでたような原色で塗りたくられている。いや地獄というよりは、ディズニーランドといったほうが正しいかもしれない。まあ同じことだ。
  • とにかく、『下妻物語』→『嫌われ松子の一生』→『パコと魔法の絵本』とその強度はえらいことになってきていて、もはやアメリカの菓子の着色料とみまがうほど(アメリカの菓子が主食のキッズは、狂ってスクリーンにかぶりついたらしい)。いわんや一般ピープルをやで、この映画をみると脳が糖分を過剰摂取したと錯覚して、インスリンが異常分泌するという報告もあったりする。
  • つまり、映画で人は太れるのだ。